今週の10句(11月第1週)
ビニール傘くらげ気分の雨中泳(雨がビニール傘を打てばクラゲの気分の歩) 富澤秀雄 梅雨に入る薔薇という字の厚ぼったさ(薔薇の字は本当に厚っぽく梅雨の鬱) 一門彰子 素揚げする新馬鈴薯の音と香と(ぱちぱちと弾ける音はいかに […]
ビニール傘くらげ気分の雨中泳(雨がビニール傘を打てばクラゲの気分の歩) 富澤秀雄 梅雨に入る薔薇という字の厚ぼったさ(薔薇の字は本当に厚っぽく梅雨の鬱) 一門彰子 素揚げする新馬鈴薯の音と香と(ぱちぱちと弾ける音はいかに […]
自叙伝を書いてるつもりかたつむり(かたつむりの歩みは自叙伝のめく) 富澤秀雄 どくだみや癒やしの句座に連座して(句座はそれぞれの雰囲気を持つ) 一門彰子 孔雀サボテンだあれも来ない日曜日(折角の孔雀サボテンを見せられない
なんじゃもんじゃ咲いて老人反抗期(反抗期は若者だけではないのだ) 富澤秀雄 青春の涙腺脆し桜桃忌(太宰治の文学に酔いし頃を回顧して涙が滲む) 一門彰子 割り切って生きればいいよ葱坊主(自分自身にも言い聞かせているようだ)
忽然と現るものに蛇と虹(誠に蛇も虹も思いがけない時に現るものだ) 富澤秀雄 立ち位置と視点の相違羽抜鶏(羽抜鶏は己が姿を見んとあらぬ方を向く哀れ) 一門彰子 青水無月バス乗り継ぎて海の町(思い出の地を訪れるには、遥かな道
西田美智子宅「からくりギャラリー」 西田美智子さんのご主人陶芸作家の西田均さんが、自宅を改造されて陶芸作品と 自作のからくりの作品をコラボしたギャラリーを開館しました。 過日、卯月句会の帰りに、みんなでお邪魔して数々のか
山口砂代里さんの「わたしの本展」が下記の要綱で開催されます。 とても楽しい展覧会ですので、会員の皆さま是非ご覧になってください。 日時:令和6年9月21日(土)~26日(木) 12:00~18:00 場所:Gall
活き活きと空をくすぐる大噴水(活きよく空に吹き上げる噴水) 富澤秀雄 今生の二進も三進も(にっちもさっちも)かたつむり(かたつむりの歩みに自らの生き様を重ねて) 一門彰子 白藤の香り吸いたる鬼瓦(鬼瓦もきっと白藤の香気を
ビニール袋の金魚の不安持ち帰る(夜店で掬われた金魚は、袋の中できっと不安げ) 富澤秀雄 お地蔵の居眠り大事苔の花(お地蔵さんはまるで眠ってござる。苔に覆われているのに) 一門彰子 やさしさも貝も欠けたり春の浜(拾った貝の
言論の自由じゆうと油蝉(蝉の気持ちになれば、そうも聞こえる) 富澤秀雄 かの世への扉閉ざせり合歓の花(合歓の花が天上花に見えてくる) 一門彰子 風少し窓辺に二羽の秋の蝶(淋しい時に訪れる二匹の蝶は何を伝えに?) 古池明子
千年を受け継ぐ京の桜守(京都の桜の名木は桜守が歴史と共に受け継ぐ) 富澤秀雄 千代紙に鶴折る蝶折る春の雨(春の雨の情感を千代紙の鶴や蝶が織り成す) 一門彰子 初音遠しそれより遠し天の声(天国にいる夫の在りし日の声を聞きた