追憶の紐解くように秋の蝶
(思い出は時々…)富澤秀雄
身に入むや別れて橋の中程は
(別れの一場面)一門彰子
とある噂の思わぬ波紋夏果てる
(噂は一時のもの)橋本昭一
そのことは口出しはせぬ鵙日和
(口出しの良し悪し)西原千津子
事実のみ手帳に印す霧の少女
(少女の陰影)山口砂代里
晩秋の蛸の孤独の水族館
(蛸にも孤独?)岸上紀子
松茸届く叔父は卒寿でメル友で
(ナウい叔父さん)岡谷康子
青虫とこの麗しき時をもつ
(虫と仲良し)田辺三耶子
わが滅びそこに見ている金秋を
(自己の在り方)政野すず子
三尺寝の夫の鼾へタオルケット
(夫婦愛)三船多美子