島泊まり銀河の中に身を置いて(宇宙の中のただ一人)
富澤秀雄
奇を衒う浮世でもなし浮いてこい(ゆうゆうと生きる)
一門彰子
日本ブームの届かぬ町の花魁草(場末の町にひそと咲く)
橋本昭一
オリーブの葉のそよぐ島潮涼し(二十四の瞳の島の潮風)
小林弘子
松の花夢遠き日の父の声(父に対する思慕の強さ)
田口美喜江
人恋し星も蛍も瞬いて(光の裏にある影を思えば)
田辺三耶子
薫風や翼が欲しい空の青(翼を得てどこへ行く)
田山嘉容
生き方は楷書でしたね夏木立(亡くなった夫を想う)
圡田桂子
訃報受く空に消えゆく秋の蝶(亡き人は蝶に化身)
中田いつ子
夏木立母のいそうな陽の匂い(亡母の胸の温もり)
中森京美