月の森俳句会

今週の10句(10月第3週)

バカヤローと叫ぶ夏野に友は亡く(突然の親友の死に、バカヤロー)
富澤秀雄
薔薇園出でて一輪のカフェの薔薇(園の薔薇も良し、一輪の薔薇もまた)
一門彰子
雛菊のかつて農家でありし庭(こんなところに可憐な雛菊が…)
橋本昭一
やめてよね脱ぎっ放しは蛇の衣(蛇も脱ぎ捨て、人もまた)
西原千津子
沈黙の肩幅にこそ蝉時雨(少年の悩みの背に蝉時雨)
山口砂代里
ずっといたの玄関で待つこがね虫(こがね虫に対する愛の眼差し)
岸上紀子
衣替え圧縮袋の大欠伸(圧縮袋の開閉を欠伸と捉えた機知)
岡谷康子
木のことば風の言葉を聞く五月(爽やかな五月の森の風景)
中森京美
金魚玉あのねあのねと爪切って(子供に童話を聞かせるように爪を切る)
西田美智子
葉桜や並はずれたるお人好し(お人好しは葉桜ほどの気遣い)
延原ユキエ