手品師の箱に隠れる秋の蝶( 隠れていた秋蝶は紙吹雪に変身…)
富澤秀雄
見返りの美人となりし秋の蛇(振り返る蛇の優美な変身)
一門彰子
保育所へどんぐり山の招待状(童話を読み聞かせているような…)
森川明美
名月を横切って行く白い杖(大きな月が無情に輝く)
山口美野子
電球のボォーッと灯る獺祭忌(ボォーツと灯る裸電球が子規を思う)
山﨑よしひろ
カラッカラの大気を削る蝉時雨(地球も蝉も環境破壊に警告)
湯川千佳子
窓辺から風のおはよう部屋さやか(爽やかな朝は、風を運んでくる)
依岡フク子
籐椅子にへこみ身の上話終ったら(籐椅子をへこませるほどの話は?)
荒木ゆきこ
飛鳥野に大きな落書き鬼やんま(まほろばのロマンを描く鬼やんま)
磯田硯涯