月の森俳句会

今週の10句(11月第1週)

ビニール傘くらげ気分の雨中泳(雨がビニール傘を打てばクラゲの気分の歩)
富澤秀雄
梅雨に入る薔薇という字の厚ぼったさ(薔薇の字は本当に厚っぽく梅雨の鬱)
一門彰子
素揚げする新馬鈴薯の音と香と(ぱちぱちと弾ける音はいかにも美味しそうな)
大下絹子
走り根に躓きながら余花仰ぐ(余花の美しさに見とれて足元が疎かになるとは)
岡田清子
片言の嬰のえくぼや花杏子(赤ん坊の片言は本当に微笑ましくえくぼもまた…)
加藤隆子
垣間見る母の遺言蛇苺(蛇苺の野原にぽっと灯る赤は母の遺言だと飛躍)
木原由美子
袖垣にもたれ文読む夏の夕(垣根に持たれ文を読む様は、ドラマチックだ)
小西清子
さくらんぼ多分俳句はすぐやめる(さくらんぼの甘さについ心にもないひと言)
寺田伸一
バイブルをスマホで読むとは聖週間(現在のIT社会を風刺しているような)
名村幸子
水筒は遊ぶ稚児友玉の汗(水筒がぶらぶら飛び跳ねるほど楽し気な稚児)西幸子