月の森俳句会

今週の10句(11月第3週)

咲き満ちて沸点となる曼珠沙華(曼珠沙華の開き切った時の凄まじさ)
富澤秀雄
やさしさの葉書いちまい秋の蝶(秋の蝶がひらりと舞い飛ぶ様は葉書めく)
一門彰子
十月の切手三枚貼り足して(淋しさは書く手紙に切手張り足すほど濃い)
西原千津子
赤い葉を拾う芒野明るくし(芒野で赤い葉っぱは拾ったら心も明るい)
山口砂代里
通草蔓伸びるに道のあるように(通草の自在に伸びる蔦は思い出に繋がる)
岸上紀子
パン生地捏ねるそろそろ渋柿甘くなる(パン生地を捏ね、庭の柿よ甘くなれ)
岡谷康子
ひょんの笛母は生涯京ことば(ひょんの笛の音色は亡母の京ことば…)
中森京美
新秋の風招き入れ今日の窓(立秋の風が昨日の汚れを拭き上げる)
小林弘子
きっと姉妹追いつ追われつ秋の蝶(縺れ蝶をまれで姉妹のじゃれ合っている姿)
田山嘉容
窓閉める十三夜ですと独り言(亡夫への想いは断ち切れず月に語る独語)
圡田桂子