月の森俳句会

今週の10句(12月第1週)

月の夜をもそもそ話すだんご虫(だんご虫に変身したかのように…)

富澤秀雄

いわし雲胸の波止場へとどく文(長い間逢えず待ち焦がれる文…)

一門彰子

ソーダ水多少のほらを吹きながら(ソーダ―水の泡は、ほら話のよう消えて)

西原千津子

星月夜塗装の壁に触れたがる(塗りたての物につい触れたくなる衝動)

山口砂代里

紅葉狩大きなおにぎりひとつずつ(家族愛に溢れる大きなおむすび)

岸上紀子

故郷の飛蝗にメガネ奪われて(故郷はいつも飛蝗まで出迎えに来てくれる)

岡谷康子

おけら鳴く爪切るときはふと孤独(夜に爪を切る時の音に孤独感を…)

中森京美

紅葉山リュックと会話坂上る(リュックと会話しながら登る坂は楽しい)

岡田清子

石蹴って秋光の端乱しけり(秋光を乱すほどの小さな苛立ちは石に)

加藤隆子

寄木箱あければ波打つ芒原(寄木細工の複雑な仕掛けを解いて開けた時の気分)

木原由美子