水筒も心も空っぽすすき原
(空虚感か)富澤秀雄
生身魂つぼみの如く御座候う
(比喩が見事)一門彰子
竹木舞の透ける廃屋熟柿落つ
(過疎の村の風景)橋本昭一
カップヌードルの蓋は猫耳豊の秋
(機知に富んだ句)森川明美
気掛りの一つ果たせり竹の秋
(安堵感)山﨑よしひろ
三面鏡の無限映像みみず鳴く
(不思議な鏡の世界)湯川千佳子
曖昧に暮れて浪速の秋暑し
(逢魔が時)依岡フク子
マネキンの四肢はずされて秋に入る
(日常からの飛躍)荒木ゆきこ
鬼ごろしという酒入れて虎魚煮る
(取り合わせの妙)江南富貴子
蜩や目印ひとつ見落として
(て止め俳句)上西眞知子