月の森俳句会

今週の十句(十二月第三週)

水筒も心も空っぽすすき原
(空虚感か)富澤秀雄

生身魂つぼみの如く御座候う
(比喩が見事)一門彰子

竹木舞の透ける廃屋熟柿落つ
(過疎の村の風景)橋本昭一

カップヌードルの蓋は猫耳豊の秋
(機知に富んだ句)森川明美

気掛りの一つ果たせり竹の秋
(安堵感)山﨑よしひろ

三面鏡の無限映像みみず鳴く
(不思議な鏡の世界)湯川千佳子

曖昧に暮れて浪速の秋暑し
(逢魔が時)依岡フク子

マネキンの四肢はずされて秋に入る
(日常からの飛躍)荒木ゆきこ

鬼ごろしという酒入れて虎魚煮る
(取り合わせの妙)江南富貴子

蜩や目印ひとつ見落として
(て止め俳句)上西眞知子