月の森俳句会

今週の十句(令和五年一月第一週)

謹賀新年 本年もよろしくお願いします。

夜の星星座は神のおもちゃ箱
(夜空に想いを寄せて…)富澤秀雄

水澄むや宇治に阿弥陀の広き胸
(み仏の慈悲の心の広さ)一門彰子

袋小路の車のターン浜栲咲く
(行止まりにから一転視野の広がり)橋本昭一

草もみじ石の貌にもうらおもて
(石の表裏に表情を感じる…)加藤隆子

寒牡丹きりり差し出す決算書
(決算書厳しさを寒牡丹の季語で取り合せ)木原由美子

胡桃の実せつなきあたりへ散らばって
(ドラマ性のある句)小西清子

雨雫ひと粒ずつの実南天
(南天の実が輝いて見える)小林弘子

胡桃割る父の故郷を聞きたくて
(胡桃割る音から望郷の想い)田口美喜江

身になじむ秋光母の椅子だった
(秋光の柔らかさを母の椅子に見た)圡田桂子

無花果に語りかければ笑い出す
(無花果の熟れようを…)徳本照美