千枚田刈られて千の風生まる(日本の原風景のような美しい景)
富澤秀雄
蓑虫がゆれて俳句の入門書(俳句は終わりなき文芸、絶えず初心で)
一門彰子
窓辺から風のおはよう部屋さやか(早朝の空気の爽やかさにおはようと)
依岡フク子
杖音はわたしの歩幅秋高し(生きて行くとは、自分の歩幅を見失わない事)
荒木ゆきこ
飛鳥野に大きな落書き鬼やんま(鬼やんまの滑空する青空が見える)
磯田硯涯
向かい合うホームの人と朝の虹(人はこうして縁を結び合うドラマチック)
上西眞知子
朽ちた茶室か車座の茸たち(茸の擬人化が効果的に景を描いている)
江南富貴子
梨の皮うれしき朝は長く剥く(嬉しい時間は、じっくりと味わいたいものです)
大下絹子
品書は女将の自筆酔芙蓉(女将の立ち振る舞いが料理をおいしくする)
岡田清子
石蹴って秋光の端乱しけり(心の乱れを和らげる秋光の輝き)
加藤隆子