月の森俳句会

今週の10句(2月第3週)

湯に浮かぶ柚子はわたしの小惑星(柚子風呂に入って惑星気分に浸る)
富澤秀雄
ファに飛んでドレミに眠る冬の蝶(冬の蝶の飛ぶ様を音律に変えて表現)
一門彰子
落葉掃く方丈さんは二日酔(方丈さんの人柄が見えるようなユーモア)
西原千津子
おずおずと象歩み出す開戦日(戦争はイヤだと象が抵抗している)
山口砂代里
刺し終えた針のいっぷく桜餅(刺繡は根気がいる、ちょっと一服)
岸上紀子
コート脱ぐ夜の重さとまどろみと(疲れた身体にコートの重さと眠さ)
岡谷康子
海鼠腸をつるり話の先つるり(珍味にごまかされ、話ははぐらかされ)
中森京美
パン種は鈴の形に春隣(鈴の形に成形されたパン種もまた春を待つ)
木原由美子
そんなこと素面で言うなよ燗冷める(せっかく気持ちよく酔っているのに…)
小西清子
日差し浴び歩け歩けと初詣(陽光に励まされながらの初詣)
小林弘子