月の森俳句会

今週の10句(2月第3週)

雪の夜をわしゃわしゃ騒ぐ食洗器(雪の夜の静けさを破る食洗器の音)
富澤秀雄
友情の輪の中にゐて神の留守(沢山の友に囲まれながらの孤独感)
一門彰子
どこへゆく枯葉さくさく月の森(「月の森」終刊すれど前を向いて歩む)
江南富貴子
小さき手の握るガラガラ鬼は外(幼子の武器はがらがら「鬼は外」)
大下絹子
短日のすとんと消える街の音(冬の日暮れは早いすとんと喧騒も消える)
岡田清子
利休忌の背筋を走る風の冷え(利休忌の追悼茶会の心身の寒さ)
加藤隆子
創世記は闇からはじまる春隣(地球の創生記は混沌と闇やがて光に満ちて)
木原由美子
雪女そっと隠れて恋みくじ(雪女に恋心を抱かせて、生気を吹き込む)
小西清子
あれこれのこれはまだまだ十二月(年末の忙しさは格別。本当にこれは?)
小林弘子
こすもすの風の揺り籠父母の家(生家は、幼き日への追憶の揺りかご)
田山嘉容