節分の鬼の背中に紙カイロ
(鬼役も寒かろう…)富澤秀雄
星に神の座葉牡丹に地べたの座
(天と地の座の対比)一門彰
すぐ痩せるキッチンペーパー天高し
(日常詠を詩に)橋本昭一
月冴ゆる楡に聞かせるハーモニカ
(楡の木に愛…)森川明美
腰痛の林檎の重み本の重み
(腰痛から飛躍)山口美野子
秋思ふとレコードノイズのファドを聴く
(ノイズから秋思を)山﨑よしひろ
天地をなだめて清し寒九の雨
(寒九の雨を大景に)湯川千佳子
青空や街の落葉は火の匂ひ
(意外性の句)依岡フク子
赤ちゃんを夢ごと預かる冬麗
(赤ん坊は夢の形)荒木ゆきこ
独り居て二人と思うことも春
(前向きな比喩)磯田硯涯