月の森俳句会

今週の10句(3月第1週)

氏素性明らかにせよ黒なまこ(海鼠に素性を聞くとは、その問いは?)
富澤秀雄
小春日のシュークリームのような人(シュークリームの擬人化は見事)
一門彰子
わたし待つ紅を濃くして酔芙蓉(帰りを待つ酔芙蓉の健気で美しい)
田山嘉容
山門の分かつ現世や実南天(寺の山門を潜ると異界に入ったような)
圡田桂子
ちひろ好き麦わら帽のころがって(ちひろの絵本から麦藁帽が)
名村幸子
投げ返す言葉も無くて大根切(人は気付かずに人を傷付けている)
西 幸子
点滴に繁がれている冬の月(点滴を月の雫のように表した)
西田美智子
湯婆を抱いてあふれる道徳心(湯たんぽを道徳心と取り合わせ)
延原ユキエ
聖戦論麦藁菊の芽が伸びて(無益な戦争は麦藁菊のような心の乾き)
橋本昭一
病廊の足音どこまでも夜長なり(病院のベットでは音に敏感になる)
原 尚子