故郷を強く想えば雪が降る(望郷の心境)
富澤秀雄
枯木星ひとりにひとつづつ勇気(勇気ひとつとは…)
一門彰子
鋸購入レモン全部採り終えて(アイロニーを漂わせる句)
橋本昭一
胡桃割る父の故郷を聞きたくて(父の思い出)
田口美喜江
落葉松の散るまで山の郵便局(物の喪失感)
圡田桂子
犬はしゃぐ音符になった落葉かな(落葉の音からの飛躍)
徳本照美
鉢巻を解かれ白菜の深呼吸(白菜の擬人化)
中田いつ子
こんにゃくに隠し包丁山眠る(料理と季語の取り合わせ)
中森京美
黄秋蝶カーブミラーの中に消え(幻想的雰囲気の句)
名村幸子
元日の耳搔き一本みつからず(些末な事を詩に)
西田美智子