月の森俳句会

今週の十句(三月第三週)

故郷を強く想えば雪が降る(望郷の心境)
富澤秀雄

枯木星ひとりにひとつづつ勇気(勇気ひとつとは…)
一門彰子

鋸購入レモン全部採り終えて(アイロニーを漂わせる句)
橋本昭一

胡桃割る父の故郷を聞きたくて(父の思い出)
田口美喜江

落葉松の散るまで山の郵便局(物の喪失感)
圡田桂子

犬はしゃぐ音符になった落葉かな(落葉の音からの飛躍)
徳本照美

鉢巻を解かれ白菜の深呼吸(白菜の擬人化)
中田いつ子

こんにゃくに隠し包丁山眠る(料理と季語の取り合わせ)
中森京美

黄秋蝶カーブミラーの中に消え(幻想的雰囲気の句)
名村幸子

元日の耳搔き一本みつからず(些末な事を詩に)
西田美智子