月の森俳句会

今週の10句(4月第1週)

アボカドの種的くらし冬ころん(アボカドの果肉に包まれた種は愛おしい)

富澤秀雄

雪だるまどこか羅漢に似て如何に(雪だるまは作り手によって如何様にも)

一門彰子

味の素振れば昭和の冬景色(味の素をぱぱっと振れば郷愁の雪景色)

西原千津子

靴紐の解けやすい日建国日(建国の志は靴紐を解くように変わったのか)

山口砂代里

悲鳴に似た笛吹ケトル万愚節(人間の浅はかさをあざ笑うかにケトルの叫び)

岸上紀子

仮名文字の強さ優しさ小雪舞う(仮名文字の強弱を筆の穂先に焦点を当てた)

岡谷康子

PayPayにチャージたっぷり神の旅(今時の支払い方法を神も利用する?)

中森京美

冬めく街昔ここらにジャズ喫茶(嘗てのジャズブームは何処に行ったのか)

湯川千佳子

見上げれば全て私の初日の出(初日を全身に浴びて今を謳歌している)

依岡フク子

柿を剥く孤独がポロリ種ポロリ(柿を種の艶やかさは何処か孤独に通じる)

荒木ゆきこ