アボカドの種的くらし冬ころん(アボカドの果肉に包まれた種は愛おしい)
富澤秀雄
雪だるまどこか羅漢に似て如何に(雪だるまは作り手によって如何様にも)
一門彰子
味の素振れば昭和の冬景色(味の素をぱぱっと振れば郷愁の雪景色)
西原千津子
靴紐の解けやすい日建国日(建国の志は靴紐を解くように変わったのか)
山口砂代里
悲鳴に似た笛吹ケトル万愚節(人間の浅はかさをあざ笑うかにケトルの叫び)
岸上紀子
仮名文字の強さ優しさ小雪舞う(仮名文字の強弱を筆の穂先に焦点を当てた)
岡谷康子
PayPayにチャージたっぷり神の旅(今時の支払い方法を神も利用する?)
中森京美
冬めく街昔ここらにジャズ喫茶(嘗てのジャズブームは何処に行ったのか)
湯川千佳子
見上げれば全て私の初日の出(初日を全身に浴びて今を謳歌している)
依岡フク子
柿を剥く孤独がポロリ種ポロリ(柿を種の艶やかさは何処か孤独に通じる)
荒木ゆきこ