月の森俳句会

今週の十句(五月第一週)

冬蝶の砕ける音か幻聴か(まぼろしの世界)
富澤秀雄

一瞥は振り返るため冬の蝶(気になる存在…)
一門彰子

長身の天使ガブリエル白マスク(天使もコロナマスク)
橋本昭一

お返しの皿に焼き芋一つ載せ(微笑ましい付き合い)
依岡フク子

枯葉踏む今のわたしの音がする(自己を見つめる)
荒木ゆきこ

卒寿とは月の兎よ冬うらら(卒寿をゆうゆうと)
磯田硯涯

毛糸編む言い訳ひとつ繰り返し(自問自答の網目)
上西眞知子

閻魔堂の裏の坂道石蕗あかり(冥界への抜け道)
江南富貴子

「感謝」と言うたった二文字の去年今年(いつでも感謝を)
岡田清子

縁側の婆とろとろと笹子鳴く(幸福感に満たされて)
加藤隆子