月の森俳句会

今週の10句(5月第1週)

啓蟄の口開いている登り窯(口の開けたままの登り窯から虫がぞろぞろ)

富澤秀雄

シクラメンしずかに縺れゆく感情(シクラメンの花の有り様を感情に転化)

一門彰子

春分のフォークとナイフ ビバルディ(素敵なイタリア料理と音楽を…)

小林弘子

梅月夜語りべとなる風の声(梅の香と風の音の交響が語り部になる夜)

田山嘉容

老いるとは流れのままの花筏(老いることを怖れずに受け入れる美徳)

圡田桂子

かあ様の心はきれい花菜漬(母恋の思いを抱き花菜漬の味を噛みしめる)

寺田伸一

紅梅や闇夜も憂き世もほんのりと(紅梅の香と闇の香りが漂う一夜の景)

名村幸子

春の雨蕾にそっと語りかけ(木が芽吹くは雨が語り掛けたからとメルヘン)

西 幸子

牡丹の芽尖った未来とじ込めて(間もなく開くバラの芽は未来を抱えている)

西田美智子

桃の花いつも二番の歌詞が好き(二番の歌詞が妙に心に刺さる事が…)

延原ユキエ