啓蟄の口開いている登り窯(口の開けたままの登り窯から虫がぞろぞろ)
富澤秀雄
シクラメンしずかに縺れゆく感情(シクラメンの花の有り様を感情に転化)
一門彰子
春分のフォークとナイフ ビバルディ(素敵なイタリア料理と音楽を…)
小林弘子
梅月夜語りべとなる風の声(梅の香と風の音の交響が語り部になる夜)
田山嘉容
老いるとは流れのままの花筏(老いることを怖れずに受け入れる美徳)
圡田桂子
かあ様の心はきれい花菜漬(母恋の思いを抱き花菜漬の味を噛みしめる)
寺田伸一
紅梅や闇夜も憂き世もほんのりと(紅梅の香と闇の香りが漂う一夜の景)
名村幸子
春の雨蕾にそっと語りかけ(木が芽吹くは雨が語り掛けたからとメルヘン)
西 幸子
牡丹の芽尖った未来とじ込めて(間もなく開くバラの芽は未来を抱えている)
西田美智子
桃の花いつも二番の歌詞が好き(二番の歌詞が妙に心に刺さる事が…)
延原ユキエ