鬼やらい終えた神社の鬼ごっこ(節分を終えた神社に小鬼たちが遊ぶ)
富澤秀雄
かげひなたなき手のひらに雛霰(純粋な子どもの可愛い掌に雛あられ)
一門彰子
もう少し寝かせて日曜蟬時雨(日曜だから寝かせてよと蝉に言ってみたが)
古池明子
体重減るこの身のおもさ青葉光(加齢と共に減った体重なのに重い…)
政野すず子
メール受く誤字や脱字よ万愚節(メールの打ち間違いの思わず笑うことも)
三船多美子
時々は小芝居もして春炬燵(夫婦ならではの阿吽の呼吸で意を察する)
森川明美
春光や部屋の四隅を拭き掃除(余り掃除しない部屋の四隅を掃除する早春)
山口美野子
地球儀の海に糸張る春の蜘蛛(まるで蜘蛛が地球を捕まえようとする…)
山﨑よしひろ
花過ぎて旅は月日の句読点(芭蕉の奥の細道の旅出のような語らい)
湯川千佳子
春日差お手玉上手の転校生(転校生の心の陰影をお手玉を介して)
依岡フク子