過疎の村絮たんぽぽの大移住(村の人口の減少はやがて野草の村に)
富澤秀雄
竹の秋やさしく枯れてゆく人と(春のはらはら落ちる竹の葉に思いを寄せた)
一門彰子
月おぼろ中途半端に返事して(月もおぼろなら返事もおぼろ春だから…)
荒木ゆきこ
梅見する足取り軽し白寿の師(作者も元気、その師も元気な健脚ぶり)
磯田硯涯
鳩を追う幼子見守るつくしんぼ(よちよち歩きの幼子を見守るつくしんぼ)
上西眞知子
酒樽のあっけらかんと花の昼(ずらりと並んだ空っぽの酒樽はあっけらかん)
江南富貴子
水ぬるむ亀の親子の立泳ぎ(春ののんびりとした親子亀のユーモラスな動き)
大下絹子
もう少し気ままな暮らし猫柳(気ままな暮しを雪柳に託してみたが…)
岡田清子
身ほとりの些少の罪を雪ばんば(人はみなささやかな罪を気付かず犯している)
加藤隆子
バックパックにラム酒と夕陽春岬(武骨な男の自転車旅。何を求めての旅)
木原由美子