雨の日はちょっと強気なかたつむり(角立てて強気)
富澤秀雄
マジシャンの後ろの正面ヒヤシンス(魔法をかけられたヒヤシンス)
一門彰子
其処にだけ昭和の日の照るレンゲ畑(いかにも昭和の景)
橋本昭一
仏像も立ち会う春の投票所(仏像前で清き一票)
上西眞知子
葬列の苗字は同じ雪解水(過疎の村の嘆き)
江南富貴子
仮名文字の筆跡をなどる青揚羽(蝶の軌跡を詩に)
岡谷康子
浅き春見慣れたものが艶めきて(早春の喜び)
岡田清子
埋火を掻き起こすごとわが余生(余生を輝かす)
加藤隆子
憂きことも一気に突いてところてん(嫌なことは早く忘れたい)
岸上紀子
ヨガポーズみごとまっすぐ黄水仙(気持ちまで直立)
木原由美子