月の森俳句会

今週の10句(7月第1週)

しゃぼん玉吹いてピエロの黙の空(おどけてみせるピエロの裏の貌)

富澤秀雄

夕桜かなしみ一つづつ消去(悲しみは一気に解消できぬ物花の一片寄せて)

一門彰子

口きかぬなら桜貝になりなさい(頑固な貝は困りもの人も亦然り)

西原千津子

しゃぼん玉星占師の窓に来て(自分の運命を星占いに委ねるしゃぼん玉)

山口砂代里

抱いて寝る本の中から蝶生る(大好きな絵本は毎夜蝶の夢を見るために抱く)

岸上紀子

真っ直ぐは子供の特権風光る(子供の言葉は無弱だが時には真実を付いて残酷)

岡谷康子

肩まろき京の山並み桜もち(京の東山六峰は誠になだらかで美しい稜線)

中森京美

古書店のレジは気まぐれ春の夕(古書店のレジ機は、突然止まったり動いたり)

小西清子

断捨離の進まぬ日々や桜咲く(断捨離は、思い出をなかなか捨てられぬもの)

小林弘子

ぼんぼりには父母の目差し雛飾る(亡き父母への思いをぼんぼりの灯りに見た)

田山嘉容