月の森俳句会

今週の10句(7月第1週)

金鳥の渦に酔ってる蚊と僕と(除虫菊の香り漂う)
富澤秀雄
花の夜のじゃらりと外す喪の真珠(喪疲れの一夜)
一門彰子
雛罌粟のひょろりひょろりと少子化へ(少子化を嘆く)
橋本昭一
木蓮は旅する神の置き土産(木蓮が神様の置き土産だったとは)
小西清子
弓ヶ浜記憶を浚う桜貝(思い出の景色が遠のく)
小林弘子
夏野行く雲の流れと一人の歩(山村暮鳥の「雲」の詩の世界)
田口美喜江
ぶらんこで野の草の名を繰り返す(牧野万太郎のように)
田辺三耶子
「月の森」にさまよい明日は蝶になる(月の森の一員に蝶も)
田山嘉容
夫癒えよ柿の芽吹きの昨日今日(闘病の夫への労り)
圡田桂子
蝉時雨小鍋ひとつを磨きあげ(家事仕事に勤しむ姿)
中田いつ子