百千鳥音楽堂めく風の森(鳥の囀りもまた音楽)
富澤秀雄
恋猫になりたき招き猫の鈴(招き猫も時には恋を…)
一門彰子
メモ書きに蒟蒻竹輪ハルジオン(どんな料理が出来る?)
橋本昭一
暖かやおもちゃ箱から鳩の笛(平和な一日は鳩笛の音色)
西原千津子
ギターケースのかたちで眠る踊子草(美しい比喩)
山口砂代里
目が合って眼を逸らされて青蛙(青蛙は誰の化身)
岸上紀子
失せ物を探す気配の恋の猫(もしや去年の恋を探す?)
岡谷康子
百歳の翁の前を雀の子(雀も百年生きられるかも)
田辺三耶子
食べて寝て笑いし日あり昭和の日(亡くなられた母への追慕)
中森京美
冬薔薇口火きるのはいつも彼(痴話喧嘩はご自由に)
名村幸子