月の森俳句会

今週の10句(9月第3週)

ラジオから慰霊歌窓打つ自死の蝉(8月は鎮魂月、蝉の短命)
富澤秀雄
おはようの言葉大好き金魚に餌(金魚にも朝のおはようと餌を)
一門彰子
懐にマスク常備の山法師(コロナは未だ治まらず)橋本昭一
銀盃草太子の産声散るごとく(銀杯草の白花が涼しげな産声に似て)
岡谷康子
蛍舞うやさしい言葉かけられて(蛍火の中の優しさは一際)
岡田清子
山歩き遅れ遅れて土筆採る(遅れることは時には良いことも)
大下絹子
生終へて蝉無残なり散歩道(落ち蟬はまれで戦火のように)
加藤隆子
片陰を拾って拾ってベビーカー(赤ん坊への慈しみ溢れる母の愛)
岸上紀子
路地裏にファドの残り音雁渡る(ファドの残響を身に纏って帰る)
木原由美子
七月の朝のサラダは生きている(夏野菜のカラフルな色は元気の元)
小西清子